クールシニアのウェブマガジン

毎週月・金曜日発行

クールは「カッコイイ」ですが、背筋をのばして歩く60+シニアの情報を集めます。

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エディター

中村 滋 Shigeru Nakamura

BE-PAL、DIME、サライなどライフスタイル雑誌を創刊。

カテゴリ:メディア 

1950年代半ばが楽しめる「ロング・グッドバイ」

 

・今、NHKで「ロング・グッドバイ」という土曜ドラマを放映しています。名前でわかるようにレイモンド・チャンドラーの傑作ミステリーをもとにしたドラマで、舞台は六本木を進駐軍の兵士が闊歩する戦後まもない日本。
・セピア色の映像、光の使い方が渋く、登場する車や建物、部屋の小物まで凝っていてなかなかです。そしてこの「ロング・グッドバイ-東京篇」というTVドラマをベースにした小説(司城志朗〈脚本〉渡辺あや)がハヤカワ文庫で出ていますが、これが読めます。テレビには出てこない表現が数多くあり、分かり易く興味深いです。
・ついでにオリジナルの清水俊二訳「長いお別れ」ハヤカワ・ミステリ文庫を読み返してみました(最近は村上春樹訳の「ロング・グッドバイ」がありますが、"ロールスロイスをロールズ〈ネイティブ発音〉とするなど"団塊世代らしい表現が多いです)。
・主人公が乗る車が、原作のオールズモビル(GMの中級ブランド)からマーキュリー(フォードのこれも中級ブランド)に、主人公が飲むカクテルのギムレットに使うライムジュースのブランドがローズ社からオーキッド社(NHKなので架空にしたのかもしれませんが理由がわかりません。ほかにも商品名は出てくるし)とか日本に合わせていますが、物語の大筋は忠実です。
・それよりも小説[東京篇]にはテレビにはない同時代を知っている人には興味深い表現が多々あります。FENで流れるグレン・ミラーの茶色の小瓶、ペリー・メイスン「ビロードの爪」、街頭テレビと力道山、ラムネ菓子のココアシガレット、大衆たばこのゴールデンバット、笠置シズコの東京ブギウギ(テレビではなぜかジャングル・ブギーになってました)、登場するカメラがリコーフレックスⅢなどなど。
・マニアックなところでは、こんな段落があります。
「森田はマックス10でとめた書類を鞄から取り出した。近頃は言い方が変わって、ホッチキスか」。
・マックスというのは零戦の尾翼メーカーだった企業が戦後アメリカ生まれのホッチキスを作るようになるのですが、大ヒットしたのがMAX10で、発売は昭和29年ですから舞台が1950年半ば(昭和25年~30年)の設定なので合っています。ただし、マックスの社史によれば、この当時はホッチキスのことをマックスといっていたというので、逆かもしれないです、今はホッチキスですから。
・それにしても、司城氏か渡辺氏かわかりませんがなかなかシニア世代を楽しませてくれます。
・テレビ放映は5月17日土曜日21時30分~が最終話です。

・今、NHKで「ロング・グッドバイ」という土曜ドラマを放映しています。名前でわかるようにレイモンド・チャンドラーの傑作ミステリーをもとにしたドラマで、舞台は六本木を進駐軍の兵士が闊歩する戦後まもない日本。

・セピア色の映像、光の使い方が渋く、登場する車や建物、部屋の小物まで凝っていてなかなかです。そしてこの「ロング・グッドバイ-東京篇」というTVドラマをベースにした小説(司城志朗〈脚本〉渡辺あや)がハヤカワ文庫で出ていますが、これが読めます。テレビには出てこない表現が数多くあり、分かり易く興味深いです。

・ついでにオリジナルの清水俊二訳「長いお別れ」ハヤカワ・ミステリ文庫を読み返してみました(最近は村上春樹訳の「ロング・グッドバイ」がありますが、"ロールスロイスをロールズ〈ネイティブ発音〉とするなど"団塊世代らしい表現が多いです)。

・主人公が乗る車が、原作のオールズモビル(GMの中級ブランド)からマーキュリー(フォードのこれも中級ブランド)に、主人公が飲むカクテルのギムレットに使うライムジュースのブランドがローズ社からオーキッド社(NHKなので架空にしたのかもしれませんが理由がわかりません。ほかにも商品名は出てくるし)とか日本に合わせていますが、物語の大筋は忠実です。

・それよりも小説[東京篇]にはテレビにはない同時代を知っている人には興味深い表現が多々あります。FENで流れるグレン・ミラーの茶色の小瓶、ペリー・メイスン「ビロードの爪」、街頭テレビと力道山、ラムネ菓子のココアシガレット、大衆たばこのゴールデンバット、笠置シズコの東京ブギウギ(テレビではなぜかジャングル・ブギーになってました)、登場するカメラがリコーフレックスⅢなどなど。

・マニアックなところでは、こんな段落があります。

「森田はマックス10でとめた書類を鞄から取り出した。近頃は言い方が変わって、ホッチキスか」。

・マックスというのは零戦の尾翼メーカーだった企業が戦後アメリカ生まれのホッチキスを作るようになるのですが、大ヒットしたのがMAX10で、発売は昭和29年ですから舞台が1950年半ば(昭和25年~30年)の設定なので合っています。ただし、マックスの社史によれば、この当時はホッチキスのことをマックスといっていたというので、逆かもしれないです、今はホッチキスですから。

・それにしても、司城氏か渡辺氏かわかりませんがなかなかシニア世代を楽しませてくれます。

・テレビ放映は5月17日土曜日21時30分~が最終話です。

 

・大ベストセラーMAX10(昭和29年発売、写真手前)。上は昭和48年発売のHD-10で、全く変更はありません。このあとモデルチェンジを繰り返しますが、このデザインが最良です。昔を懐かしむ気はありませんが、文具も車もカメラも家電もデザインが悪くなる一方なのはなぜでしょうか。

次号5月16日金曜日

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