クールシニアのウェブマガジン

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中村 滋 Shigeru Nakamura

BE-PAL、DIME、サライなど
ライフスタイル雑誌を創刊
著書にスマートフォンの
生活革命を書いた
「スマートメディア」デコ刊

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カテゴリ:メディア 

地獄絵のボッシュと同じ名の刑事

 この不気味な人形は、15世紀オランダ、初期フランドル派の画家、ヒエロニムス・ボッシュ(あるいはボス)の代表作「快楽の園」の地獄にある絵のフィギュアです。絵は2Dですがこれは3D。

 左がエデンの園、中央が快楽の園、そして右が地獄(絵の右下にフィギュアになった像があります。前からボッシュのこの絵に興味があったので、六本木ヒルズ・森美術館のミュージアム・ショップで手に入れました)。たぶん見たことのある恐ろしい絵だと思いますが、なぜこれを思いだしたかというと、マイクル・コナリーの最新作「真鍮の評決」講談社文庫上下を読んだからです。

 マイクル・コナリーといえば、アメリカを代表する最高のハードボイルド作家で「夜より暗き闇」「終結者たち」「リンカーン弁護士」「エコーパーク」などなど傑作揃いですが、今回はとりわけ秀作です。主人公はミッキー・ハラーという刑事弁護士で、フォードモーターのトップグレードであるリンカーンを事務所代わりに使っているので(なんと3台も所有)、リンカーン弁護士と呼ばれています。話はハリウッドの映画会社会長兼オーナーの妻とその愛人の殺人事件にくわえて、被告となった会長の弁護士も殺害されて・・・というところから始まる法廷ミステリー。さらにここにコナリー・ミステリーの人気キャラクターであるハリー・ボッシュ(シリーズ)というロサンゼルス市警の刑事がダブルキャストとして登場します。で、この強盗殺人課刑事のフルネームがヒエロニムス(ハリー)・ボッシュということで、あの画家とまったく同じ表記なんです。その理由とボッシュとハラーの関係も下巻の最後の最後でわかります。訳者のあとがきによれば、この作品はファンが選ぶ最高の賞「アンソニー賞」最優秀長編賞を2009年に受賞します(4度目でこれはコナリーだけとか)。面白いのはこの時、あのスウェーデンの世界的大ベストセラー、スティーグ・ラーソンの「ミレニアム=ドラゴン・タトゥーの女」(スウェーデン映画に続くハリウッド版がもうすぐ公開されます)を抑えての受賞だったそうです。それぐらいできがいいということですが、まあ個人的にはミレニアムのほうがわずかに上かと思いますけど。それでも後半での意外な展開は、あのどんでん返し名人、ジェフリー・ディーヴァーに近いものがあります。ひさびさの傑作ミステリーです。

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