クールシニアのウェブマガジン

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エディター

中村 滋 Shigeru Nakamura

BE-PAL、DIME、サライなどライフスタイル雑誌を創刊。

カテゴリ:メディア 

あったことをなかったことにする伝統

・国会中継をみていると、この国の政府、指導者はあったことをなかったことにするのが長く続くお家芸なのではと思います。この正月、支那事変と大東亜戦争の最近刊本を読みました。

・文春文庫の「南京事件を調査せよ」清水 潔・著と講談社現代新書の「不死身の特攻兵」鴻上尚史・著です。南京事件をなかったことにする人やメディアが未だにあって驚きますが、文庫化した「南京事件を調査せよ」は現場にいた31人の兵士の日記をベースにした緻密な調査報道です。

・本の出版の前、201510月にNNNドキュメント「南京事件 兵士たちの遺言」が放映されています。

・戦地で日記など書けるはずがない、万年筆など一兵卒が持つわけない、だから日記はない‥‥と反論する人がいるそうですが、支那・大東亜両戦争に従軍した父は万年筆を持ち、克明な日誌をつけていました。

・もう一つの「不死身の特攻兵」は、特攻といえば海軍の神風特別攻撃隊が有名ですが、陸軍にもあり、その万朶(ばんだ)隊で九九式双発軽爆撃機に800kgの爆弾を積んで9回出撃し、そして生き残った一飛行兵のドキュメントです。

・前書きにこうあります。「‥‥9回出撃して、体当たりしろという上官の命令に抗らい、爆弾を落として、9回生きて帰ってきた人がいました‥‥いったいどうしてそんなことが可能だったのか‥‥」。

・著者の鴻上氏は、それを知りたいと思ったと書いていますが、まさにそこに興味があります。読み進めていくうちにわかったのですが、一言でいえば現場の力です。旧日本軍の強さは最前線の尉官以下の優秀さだといいます。

・万朶隊でも、隊長(岩本大尉)は爆弾落として生きて帰ってこいと佐々木伍長にいい、参謀長の命令に背いて爆弾を投下できるように改造します(それを実行する整備兵もいます)

・一方特攻を計画し命令したのが富永司令官(中将)で、マニラ陥落時に兵士を捨てて敵前逃亡して台湾に逃げます。中国での南京事件にしろ南方での特攻にしろ、愚かな指導者と苦悩する前線の話は痛ましい限りです。

・これが森友、加計事件にもつながる、我が国の伝統のような気がします。岩本大尉や佐々木伍長のような良識ある優秀な人物は現在もいます。森友、加計で文科省や財務省で処分したはずの文書が出てきますが、役所にもそういう人物がいる証拠です。ただしこういうまともな人物は出世しないんです。

・「南京事件を調査せよ」で著者の清水 潔氏はボブ・ディランの言葉を引用しています。

「俺にとって右派も左派もない  あるのは真実か真実でないかということだけだ」。両著とも売れているようですが、若者にこそ読んでもらいたい書籍です。

次号129日月曜日

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