クールシニアのウェブマガジン

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中村 滋 Shigeru Nakamura

BE-PAL、DIME、サライなど
ライフスタイル雑誌を創刊
著書にスマートフォンの
生活革命を書いた
「スマートメディア」デコ刊

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カテゴリ:メディア 

中国は何処へ行くのか?①

・この時期、「今年はなになにだった」という表現をしますが、断面を切って評価しても意味がありません。トランプ旋風で相変わらず右往左往していますが、アメリカの場合は選挙があり民意があり、必ず落ち着きます。流れでみればそう判断できます。

・判らないのは隣の大国です。習近平になってからの中国は何処へ行こうとしているのか、経済、政治、軍事などなど、一番気になるのはそれでしょう。そこで、中国通の二人が、それぞれ新刊を出したので読んでみました。

 

・一冊は、丹羽宇一郎氏の「習近平の大問題」東洋経済新報社刊 四六判並製です。総合商社伊藤忠の元社長で、尖閣騒動の時、中国大使でした。

・この時、「もし尖閣諸島の計画が実行されれば、日中関係にきわめて深刻な危機をもたらす」と、インタビューで発言して大バッシングされました。領土問題は常に愛国心を揺さぶるので、政府に言うのでなく一般へ発言したのはミスでした。

・ビジネスマンとして優秀な人ですが、政治家ではありません。しかし、長年中国と関わり、中国人の心情を理解している人物であります。

 

・中国は胡錦濤国家主席のあたりから、経済大国を背景に姿勢が変わります。アメリカや日本は、中国が経済発展の後、民主化(つまり先進国の価値観、グローバルスタンダード)へゆっくり進むと楽観していたようですが、違いました。

・経済力を元に展開したことは、日本からみれば次のようなことです。

国際裁判所の判定を蹴って南沙諸島に軍事基地建設

一帯一路という陸のシルクロード上にある発展途上国への開発援助、そのための金融機関AIIB設立し、債務超過の国も。

大陸棚日中共同開発で独断専行

不法漁法の中国漁船放置

尖閣周辺へ頻繁に公船侵入

政治コントロールに観光客(経済効果)を使う

 

・これらを眺めると、アメリカ・スタンダードに対抗して、チャイナ・スタンダードを広めたいと考えているようにしか見えません。また自由貿易を主張するけれども、国有企業は極端な補助金助成をしたり、為替操作は勿論、環境問題では途上国の立場をとるなど、かなり独自の基準であることは確かです。

 

・これらに対して丹羽氏は、読む限りでは中国に好意的です。習近平は覇権主義ではないといいます。ただこの覇権は領土のことを指していて、21世紀の今日、領土拡大を考える国はあまりなく、その意味ではもとより覇権を考えてはいないでしょう。中国は十分広いです。

・氏によれば南沙諸島基地は、本土海軍基地防衛用だといいますが、地勢的にみてどう考えても前線基地(旧ソ連製の空母1隻ですから)でしょう。

・それに鳩山元首相の意見を取り上げていますが、沖縄の基地問題を投げ出し複雑化した張本人ですし、小沢一郎も引用している(日本新党と民主党を解散させた人物です)ところが、どうにも弱いです。

・また、ゆっくりと民主化に向かうと氏はいいますが、はたしてあの大きな国にそれが可能なのか。人権よりもこの先も経済・格差問題が大きく、民主化イコール分解のような気がどうしてもするのですが。

・しかし、14億人という世界一の人口、香港を含めれば輸出入額世界一、2019から国連予算分担率が日本を抜いて第2位という経済大国とうまく付き合うべきだという氏の主張はその通りでしょう。

 

・丹羽氏が懸念するように、感情的な嫌中は害を為します。アメリカに対しては中国、中国に対してはアメリカやインドを当て、貿易に関してはEUやアジア太平洋経済圏を盾にする・・・というようなパワーバランスをとるテクニックが要求されます。中国とも手を握るような態度、あるいは政策が必要になります。

・はたして、アメリカの顔色を伺ってばかりのように見える、今の自民党政権にそんな綱渡りができるのか見ものです。

・次はもう一人の中国通学者、東大准教授・川島博之氏の「習近平のデジタル文化大革命」です。

次号1231日月曜日

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