クールシニアのウェブマガジン

毎週月・金曜日発行

クールは「カッコイイ」ですが、背筋をのばして歩く60+シニアの情報を集めます。

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エディター

中村 滋 Shigeru Nakamura

BE-PAL、DIME、サライなどライフスタイル雑誌を創刊。

カテゴリ:メディア 

無印の文庫は薄くて安くて片手で読めます

・フランスのセーヌ河畔にあったフライフィッシングの釣り道具屋で、棚の品物を手に取ったら、“触らないで”と言われました。日本では当たり前の、持って触って選ぶはマナー違反なんだそうです。

・「日本人は家で靴を脱いで、裸足で板の間や畳の感触を味わい、食事は椀を手に持って、自分の手に合わせた箸を使う・・・つくづく触感民族である」と言ったのは工業デザイナーの故秋岡芳夫さん。

 

・秋岡さんは最も好きな工業デザイナーの一人で、胡座をかける椅子や三菱ユニの鉛筆、それに今はなき名古屋のモーターサイクルメーカー、ライラックのスクーターは、今でも美しいグッドデザインです。一方で大量生産大量消費、使い捨てに異を唱えて、手わざを大事にしました。

・随分前ですが取材したことがあります。竹とんぼです。「おにぎりと竹とんぼは買うもんじゃないんだ。自分で作るべきもんだよ」を始め、秋岡さんの名言を集めた本があります。

 

・無印良品のMUJI BOOKS 人と物シリーズの一冊で、文庫サイズの500円(+税)で買える本です。160ページなので、片手で気軽に読めます。

・中には前から感じていることが書いてあります。椅子の高さです。デパートや家具店で買うときに靴を履いたまま座って確かめている人がいますが、あれは間違いです。家では靴を脱ぐので5cmは違ってきます。ハイヒールの女子なら10cmも変わるかもしれません。

・秋岡さんに言わせると、人間工学的には身長のほぼ23%の座面高が正しいのだとか。さらに家族共用なら女子の高さに合わせるのが良いとも。偶然ですがうちでは35cmに統一してあります。

 

・このシリーズは他に柳 宗悦、花森安治、伊丹十三、白州正子などなどありますが、やはり小津安二郎の一冊が含蓄があって面白いです。生涯独身を貫いたのですが、「結婚生活も知らないでよく中年者の生活や、結婚の倦怠なんかを描けるなって言われるが描けないとすれば、ワシャ泥棒も人殺しも姦通もしなくちゃそんな事は描写出来なくなる勘定じゃないか」と言います。その通りで、政治家はいざ知らず、作家に未婚、既婚、主婦、貧乏人、庶民の心がわかるはずがない!というのはナンセンスです。

 

・小津安二郎といえば、トレードマークは、鼈甲の老眼鏡、パテックフィリップの腕時計、それにドーム型6ピースのピケ帽で、前二つは禁制と高額で真似できないので、影響を受けたのはピケ帽です。

http://csmagazine.sakura.ne.jp/fashion/6-1.html

・趣味の良さとカッコいいライフスタイルからいって、この人と物シリーズに加えたらいいと思うのは、三国連太郎と樹木希林ですね。現役の人なら宮崎 駿氏。3人とも車の選び方から素晴らしい。

次号7月26日金曜日

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