クールシニアのウェブマガジン

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エディター

中村 滋 Shigeru Nakamura

BE-PAL、DIME、サライなどライフスタイル雑誌を創刊。

カテゴリ:文房具 絶滅倶楽部 

紀伊國屋の200字詰め原稿用紙

 原稿用紙というモノを使わなくなりました。ワープロ、メール、ツイッターなどなどすべて電子ですから、絶滅危惧種に加わるでしょうね、たぶん。編集者時代は会社の、あるいは雑誌専用の原稿用紙を使いましたが、それでも愛用していたのはこの紀伊國屋のK6というペラ(200字詰め)の原稿用紙でした。

 大きさはB5判(一般週刊誌のサイズ)で、余白を大きく残してマス目が並んでいます。ふつうの原稿用紙に比べて一字分が小さい。。太い万年筆で字を書き殴る大作家ならいざしらず、せいぜい中字の万年筆や鉛筆で書く小市民にはこのサイズがいい。そして、余白がたくさんあるので、直しをたくさん入れることができ、文を推敲したりアイディアを練るのにもいい。最近はもっぱら親しい人への手紙用に使っています。紙質も優れていて万年筆のインクが裏抜けせず、滑らかな書き心地です。紀伊國屋書店の新宿本店レジで売っていますが、はたしていつまで生き残るのでしょうか。

 インクで書かれた文字は気分が字に出ます。メールやワープロではこうはいきません。右の万年筆はペリカン(モンブラン派とペリカン派のどちらかといえば、書き心地ではなくデザインでペリカン・ファンです)の(日本人向きで筆圧の強いひと向きの)小ぶりなM400、ポンプで瓶からインクを補給するタイプです。太字ですがこの小さなマス目でもちょうどいいです。左はふつうのボールペンに見えますが、これもインクのペン。

 フランスの老舗インクメーカー、HERBIN(フランス語読みですからエルバン)から出ているボールポイント・インクペン(630円、カートリッジ缶は6本入りで420円。なんとインクメーカーだけに30色もあります。東京・中野の旅屋というセレクト文具店で見つけましたが、ふつうの文具店ではみかけません。http://tabiya-nkn.ocnk.net/)。先はボールポイントでインクに万年筆用のカートリッジを使います。だから細いインクの字が書けます。これはもっぱらメモ用に使っているのですが、このマス目の小さい原稿用紙では画数の多い字でも潰れずに書けます。サインペンやボールペンの字と違いインクの文字はかすれ、ちょい滲みレトロでいいです。表情があります。ただ書き損じ、失敗が許されないので文脈を整理や心構えが問われます。ワープロやメールではいくらでも書き直しができ、べんりはべんりなのですが、その分なにか(集中力とか)を失っていくんでしょうね、我々は。

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