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中村 滋 Shigeru Nakamura

BE-PAL、DIME、サライなど
ライフスタイル雑誌を創刊
著書にスマートフォンの
生活革命を書いた
「スマートメディア」デコ刊

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カテゴリ:ヴィークル 

プレミアムカーの意味と条件

・ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー(WCOTY)を受賞したアウディA3に9か月ほど乗ったので、プレミアムカーについて考えてみます。プレミアムカー御三家といえば、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディになります。現在の順位は、1位BMW2位アウディ3位ベンツ(2013年世界新車販売台数。出身が前輪駆動のため評価で低位にいたアウディがBMWを猛追)。すべてドイツ車になりますが、小から大までラインナップするのはこのブランドで、日本ではレクサスになります。

・ただ高級車ならジャガーやベントレーやロールスロイスがありますが、フルラインはなく、R&Rなどはショーファードリブンの運転手付きが標準になります。

・このドイツのプレミアムカーですが、今度のアウディA3で3台とも乗ったことになります。

・メルセデス・ベンツは最も完成されたセダンといわれたW124シリーズのEクラスで、コストダウンを考える前の一番良い時期のベンツです。特に前期モデルは、パワーウインドーのスイッチも間違いようのない左右別々のドア・イラストを使うほど(後期から同じものを使うようになります。経費削減です)。

・次に乗ったのがBMWの3シリーズ(E46)で、この車は世界の自動車評論家が投票で、「20世紀のNo.1スポーツセダン」に選びました。特に航空機エンジンの流れをくむ直列6気筒エンジンの330は、Fan to driveというBMWのキャッチフレーズを体現するモデルです。その点メルセデスはA地点からB地点までいかに楽に移動するかという性格で、180度逆です。

・そして最新のWCOTYのアウディA3。これはプレミアム・コンパクトを考える上でのベンチマークになります。乗車した3台とも車幅が1.75m前後で日本の道路にギリギリ合っています。BMW3もAUDI A4も今や1.8m超えて大きくなりすぎました(全長より車幅が問題です。A3を選んだ理由はそれです。本当は1.7mを切る方が運転がしやすいのですが)。

 

・現代のプレミアムカーに必要なプレミアムの意味は、まずあらゆる意味での「心地よさ」に尽きます。バタつかず軋まないボディー剛性と乗り心地。シートやハンドルを上下左右に動かして遊びがないこと(このためシート、サイドブレーキなどは電動アシスト)、コンパクトカーでありながらドアが重厚に閉まり、隙がないこと。これを知る一つの方法が、ドアやトランクのヒンジが軽合金の削り出しを使うことで(ドイツ車はこれにこだわっています。トヨタはセンチュリーがそう)、たわみがありません。上質なカメラ三脚の雲台が、なぜ軽合金削り出しなのかです。それらが乗り心地を含む快適さにつながります。

・高速でも峠道でもストレスを感じない必要十分なパワーも条件の一つです。ストレスといえば、コンピューターが搭載されるようになって、操作が複雑になって困惑します。マニュアルを読み込まなければ使えないエアコン、カーナビ、電話、オーディオ、クルーズコントロールなど、A3でも同じです。これは直感的に使えるアップルの音声プログラム(Siri)にもう任せた方がいいと思います。

 

・以上はどのブランドにも共通することで、トヨタのレクサスも作り込みの上質さでは引けをとりません。静粛さでは一番かもしれません。問題はもう一つの条件である「先をみつめた思想」で、これが21世紀プレミアムカーの重要なポイントになります。

・車のような耐久消費財は、5年から10年先を見据えて購入を決めるといわれます。この意味でアウディは一歩先を歩いているように思えます。デザインも他社に比べてややコンサバですが(フォルクスワーゲン・グループはすべてそう。とはいえバンパーレス・フロントのデザイン統一やLEDライト採用などすべてアウディがリード)、他社のアクの強い今風の顔より長持ちしそうです。そして、省エネ省資源のダウンサイジングとIT化も早くから手を着けました。

・トレンドは低燃費の小さな軽量高出力エンジン(自動車レースのF-1もこうなりました)、超軽量化、ネット接続(カーコンピューターが話題になっていますが、車載は処理コンピューターだけで、ソフトはネット上のクラウドになるでしょう。なぜなら情報はストックではなく常時更新のフローになるからで、それは日々変わる交通情報、地図情報で明らか)です。

 

・A3はターボ小排気量エンジン(電気やハイブリッドもありますが、当面ガソリンやディーゼルは続きます)、気筒停止、アルミ使用軽量ボディー、全天候対応のクアトロ4輪駆動、ネット常時接続(3G、制限ありなのであまり実用的ではありませんが、考え方は正しい)、とプレミアムカーでありながら、クールに見えるのはこの先進思想のせいでしょう。

・トヨタのレクサスに足りないのはこれです。日本で発売開始してもうすぐ10年、「10年でプレミアムのトップになる」といっていたのですが、ベンツに抜かれてしまったようです(2013年。ということは今のレクサスオーナーは輸入車からの乗り換えではなく、元からのトヨタファンということになります)。当初ハイブリッド技術がアドバンテージになるといわれていたのですが、省エネはこの層の感性に訴えるものではなかったということでしょう。

・ヨーロッパの伝統に対抗出来るのは、高性能とか高価格とかではなく、日本の得意とする最先端素材、最新技術をどこよりも早く形にし、見たことのない「陸のスペースシャトル」を作ることにつきます。LED、カーボンファイバー、液晶パネル、電子カメラ、光ファイバー、リチウム電池、タイヤ技術などなどすべてトップグループなんですから。

次号9月15日月曜日

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