クールシニアのウェブマガジン

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クールは「カッコイイ」ですが、背筋をのばして歩く60+シニアの情報を集めます。

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エディター

中村 滋 Shigeru Nakamura

BE-PAL、DIME、サライなどライフスタイル雑誌を創刊。

カテゴリ:ヴィークル ホビー 絶滅倶楽部 

昔のデザインがもてはやされる理由

 Sbarro 328というオールドカーに触ってきました。スイスにあるSbarroという自動車工房が製造したBMW328のレプリカです。BMW328といえば1930年代後半に活躍したBMWのビンテージスポーツカー、それをSbarroが1974年にBMWの4〜6気筒エンジンを使い、ボディーはそっくりそのまま復元して発売します。オリジナルは75年前、そのレプリカも38年前ということになります。
 それにしても今なお個性的でユニークな姿形です。現在もBMW328という型番があります(2座席スポーツではありませんが)。もちろん車としては性能も快適さも安全も圧倒的に優れているのですが、デザインはどうでしょう。
 そういえば、この5月にフォルクスワーゲンがビートルの新型The Beetleを発売しましたが、これも空冷リアエンジンの、あの国民車のレプリカです。ただ、このレプリカ2台目はさらに大きくなり(今や車幅が1.8メートルを超えます)オリジナルの面影はなくなりつつあります。
 BMWが引き受けたMINIも原初の可愛らしさを活かしたデザインでした。ただヴァリエーションは、あのコンパクトさがなくなり大型化しています。もちろんメーカーにいわせれば安全基準とか高速化、空力・エコデザインとか理由はあるのでしょうが。その点、同じレプリカ族のFIAT500はオリジナルと同じ2気筒モデルを作ったり、オープンサンルーフや蠍印のアバルト仕様があったりとおもしろいです。まあ、マニア好みではありますが。
 この世界的な「昔はよかった」デザイン嗜好はたぶん、どれを見ても似たようなデザインの個性のない車ばかりに対するアンチテーゼです。車に限らず角の丸い冷蔵庫、レトロ扇風機、機械式腕時計などなど、たしかに可愛かったり、心地よかったりでいいのですが、シンプルで飽きの来ない21世紀デザインがあるはず、デザイナーは振り返らずにぜひともチャレンジしてもらいたいです。スマートフォンなどではそれができているんですから。

この春なくなったイラストレーターの日暮修一さん(50年以上にわたりビッグコミックの表紙を描き続けました)が新車から38年にわたって愛用したスバッロ328。メールアドレスもsbarro328を使っていました。

これ以外にも、メッサーシュミット(オリジナルだけでなくホンダのエンジンを載せたレプリカも)、モーリスマイナー・コンバーチブル、シトロエン2CV、FIAT X19、バンデンプラス・プリンセスなどユニークな車ばかりでした。

スペアタイヤはリアマウントですが、トランクは開きません。なので座席を倒して内側から狭いトランクスペースにバッグなどを入れます。

ドアはジッパーで幌を開き、ドアハンドルで開けます。ロックはありません。このまま駐車場に駐めたそうです。まあ、盗んでもすぐ見つかりそうですが。

オールド・スポーツカーの常識、腰を入れたあと足を手で持って中に入れ、ハンドルは腹の上で抱えるように持ちます(現代のようなストレート・アームは不可能です)。つまりこういう車はダイエットが必須であります。もちろん、スペースがないのでクーラーなどありません。運転は楽なオートマティックです。

BMW認定だったのでエンジンなどBMWのサービスが受けられました。今の車と違いデストリビューターとか点火栓キャップとかエンジン構造がよくわかります。1974年当時たしか700万円ぐらいしました。

補遺(ほい)一つ。ドイツの玩具メーカーShuco(シューコー)の代表的Tin toy(ブリキ玩具)EXAMICO 4001もBMW328がモデル。しかも写真のものは1930年台のレプリカでスバッロと同じ。その昔、1万円オーバーで買いました(三越百貨店はこういうものをかつては売っていたんです)。

ゼンマイ・エンジンですが前進4段後進1段ギア、ハンドルも可動、サイドブレーキも効きます。ボディー横にクラッチがついていて、これを下げるとゼンマイ・エンジンのアイドリング音を聞くことができます。

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